プロジェクトマネージャ(PM)とは? その役割・業務をわかりやすく解説

プロジェクトマネージャ(Project Manager、PM)は、プロジェクトを指揮する総責任者だ。プロジェクトが目指すゴールを期間内に達成するために、体制構築から、進捗管理、予算管理、問題発生時の対応など、プロジェクトを完遂するまでの全体管理が責任範囲であり、その仕事内容は多岐にわたる。

本記事ではプロジェクトマネージャの役割と業務、資格、似たような言葉ながら意味の異なる「PMO」との違い、また、筆者がこれまでに関わった数百件のプロジェクト経験から考える、優秀なプロジェクトマネージャの資質についても説明する。

昨今では、プロジェクトベースの業務が増え、何らかの形でプロジェクトに関わったことがある人は多いのではないだろうか。プロジェクトのPM選定を検討中の管理職や、PM自身、プロジェクトメンバーの参考にしていただければと思う。

プロジェクトマネージャ(PM)の役割・業務

プロジェクトマネージャ(PM)とは、プロジェクトの統括責任者

プロジェクトマネージャ(以降、PMと言う)は、プロジェクトを指揮する総責任者を指す。プロジェクトは、何らかの達成したいビジネス上の目的の下に組織される期限付きの業務のことで、特定の部門、部署内で組まれることもあれば、社内の組織を横断するものや、社外も含めたプロジェクトもある。

ネットで「PM」を検索すると、「IT分野におけるシステム開発プロジェクトの責任者」と説明する記事が多く出てくるが、これは狭義のPMであり、本来のPMが指すのは業界を問わず、プロジェクトをリードする責任者である。

プロジェクトマネージャ(PM)の役割・業務

プロジェクトマネージャの役割は、プロジェクトの立ち上げから完遂までの全領域の統括である。ゆえに業務範囲は非常に広い。以下に、業界を問わず、どんなプロジェクトにも共通するおもな業務内容を挙げてみよう。

  1. プロジェクトのゴール設定、要件定義
  2. 業務分解、スケジュール設定(WBS、ガントチャート)
  3. 体制構築、必要資源の調達
  4. 費用計画・管理
  5. 進捗確認、モチベーションマネジメント
  6. ステークホルダーマネジメント
  7. 品質管理
  8. リスク管理
  9. 成果物の納品、完了報告、今後の課題および対応案の提示
  10. 案件の全体管理

上記の通り、プロジェクトマネージャは、プロジェクトで実現したいビジネスゴール、成果物を明確にし、業務範囲を設定し、その実現に必要な体制を整備する。予算と納期を超えないよう随所随所でタスクの進捗管理を行い、あらかじめ、起こりうるリスクへの対応も取っておかねばならない。

プロジェクトオーナーには定期的に進捗を報告し、必要であれば追加予算の手当てや業務スコープの見直しなども進言する。プロジェクトを遂行する上で協力が必要だったり、遂行後に影響を及ぼすような部署のステークホルダーへの情報共有なども行わなければならない。
また、プロジェクト完了の際には、プロジェクトを行う中で明確になった課題とその対応案なども提示する。

こうした業務を円滑に行うプロジェクトマネジャーには、企画力、実行力、コミュニケーション力、管理能力と幅広いスキルが求められるのである。

PMとプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)の違い

PMOとは? PMとPMOの役割は何が違う?

PMO(Project Management Office)について

PMOとは、「プロジェクトマネジメントオフィス(Project Management Office)」を略した呼称で、個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門やチームを指す。

PMとPMOの違いは何か?

プロジェクトマネージャは「プロジェクト」の責任者。これに対してPMOは「プロジェクトマネジメント」のために活動する事務局的な組織、チームと言える。

小規模のプロジェクト単体であればPMOは必要ないかもしれないが、プロジェクトが社内外や部署を跨いだ大規模なものであったり、プロジェクトが複数同時に進行する場合、プロジェクトマネージャが対応しきれないような細かい業務をPMOが請負い、PMをプロジェクトに専念させるために支援組織としてサポートするのである。

プロジェクトマネジメントに特化した資格は?

プロジェクトマネジメントに特化した3種類の資格試験

PMになるためには、資格が必須なわけではない。しかし、資格を持っていれば、PMに必要な知識、手法を理解していることがわかるため、就職、転職の際に有利だとも言われる。

プロジェクトマネジメントに特化したおもな資格として「PMP」、「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」、「プロジェクトマネージャ試験」がある。

PMP、プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格は、業種を問わずプロジェクトマネージャに必要とされる概念や手法を身に付けたことを証明できる資格、プロジェクトマネージャ試験はIT技術者向けの国家資格である。

プロジェクトマネジメントの国際資格「PMP」(Project Management Professional)

PMPは、アメリカに本部を置くPMI(Project Management Institute)という世界最大のプロジェクトマネジメント団体が認定する国際資格で、日本語での受験が可能。プロジェクトマネジメントに必要な知識と手法を体系的にまとめたPMBOKガイド に基づいて実施される。

資格保有者となった後も、CCR(Continuing Certification Requirements Program)と呼ばれる継続教育プログラムに参加する必要があり、3年毎に更新手続きが必要となる点に留意されたい。

PMP資格(PMI日本支部)https://www.pmi-japan.org/pmp_license/

日本PMO協会の認定資格「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」(NPMO認定PJM-A™)

プロジェクトの現場業務で習得すべき基本的な知識と技術の習得を証明する資格で、一般社団法人日本PMO協会が資格認定。PMO協会が作成するオンライン映像型eラーニング教材に基づいて実施される。この他、PMOの知識を確認、認定するPMOスペシャリスト™認定資格もある。

PMO協会 https://www.npmo.org/%E8%B3%87%E6%A0%BC%E5%88%B6%E5%BA%A6

独立行政法人情報処理推進機構が実施する国家資格「プロジェクトマネージャ試験」

IT分野のプロジェクト責任者として必要な知識やスキルを問われる資格で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者向け国家試験。

プロジェクトの立ち上げ、計画、リソースや環境の確保、予算・納期・品質の管理、進捗管理、リスクマネジメント、組織運営からクロージングまでPMに関する幅広い問題が出題される。IPAのウェブサイトに試験要綱、用語説明、過去問題などが公開されている。

IPA https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/pm.html

信頼できるプロジェクトマネージャに共通する資質とは?

“出来るPM”に共通する資質

PMの業務が多岐に渡ることはおわかりいただけたと思う。筆者はこれまで国内外の、業種も規模もさまざまなプロジェクトにPM、メンバー双方の立場で関わってきた。その中で見てきた、業種を問わず“出来るPM”に共通する資質を挙げてみたい。

1. 鳥の眼・蟻の目

PMにはプロジェクトの全体像を捉える“鳥の目”と、後々問題となりそうな問題の芽を発見する“蟻の目”の双方が必要だ。全体を俯瞰せずにプロジェクトを回すことができないのは当たり前であるが、蟻の目も意外と重要である。

肝となるようなポイントを見落としてしまうと、プロジェクト後半にさしかかってから、プロジェクトの一部分で大きな問題が発生し、全体を遅延させたりする。出来るPMは、何が肝となるか、という点をきちんと押さえるセンス、想像力に長けている。

2. 信頼構築・コミュニケーション力

プロジェクト関係者と信頼関係を構築し、プロジェクトの進捗が良い時も悪い時もきちんと情報が共有されるようなコミュニケーションが必要である。

PMにもさまざまなマネジメントスタイルがあるが、出来るPMはチームとのコミュニケーションを適宜とり、良好な関係を築きつつ、言うべきことはきちんと言う。高圧的で人を貶めるようなコミュニケーションをとるPMのリードするプロジェクトは、チームのモチベーションが著しく低く、悪い情報が上がってこない。

3. 最初の仕切りを入念に行う

出来るPMは、重要な点についてはプロジェクトの最初の段階で入念に整理・確認を行う。たとえば成果物のレベル感など、プロジェクト・オーナーと細かくすり合わせの上で合意する。

成果物の認識に齟齬があると、最後の最後で作業のやり直しが必要となる事態に陥りかねない。余計な作業、費用が発生することのないよう、プロジェクトの目的、成果物についてはとくに入念に確認を行いたい。

4. 意思決定権限・責任の明確化

出来るPMは、権限や責任範囲についても最初に明確化する。与えられた権限を明確に行使しながらプロジェクトを推進できるし、逆にできない責任を負って苦しむこともないようにしておくのである。

5. 問題発生時には前面に立って対応する

どんなプロジェクトにも、必ず、何かしらの問題は発生する。問題の程度にもよるが、PMはあくまでもプロジェクトの全体責任者なので、問題が発生した時には当然のことながら対応責任、説明責任を負う。

どうせ責任からは逃れられないのだと腹を括り、問題には前面に立って対応するのが良い。問題発生時のPMの様子はチームメンバーのみならず、プロジェクトオーナーであるクライアントや上位役職者が必ず見ている。

誠意ある対応から、チームの信頼を勝ち取ったり、ステップアップのきっかけを得たPMを筆者は多く見てきた。

PM人材はどこに行っても活躍できる

PMという仕事は、日本においてはIT専門の業務と捉えられ、必ずしも脚光を浴びる業務ではなかったかもしれない。しかし、本記事で説明した通り、PMに求められる役割は広範囲で、ビジネスパーソンとしてのスキルが凝縮された高度な仕事だ。

筆者は長年、金融機関で国内外の企業の資金調達や海外の規制対応、システム導入、ビジネス統合プロジェクトなどのプロジェクトに多々、関わってきた。今はまったく異なる業界でPMとして仕事をしており、PMのスキルは業種を問わず活用可能であると実感する。

世の中には優秀なPMが数多くいて、今はそうしたプロ人材を外部から登用することも可能な時代だ。PMのアポイントを検討する際には、幅広く、外部のコンサルなども候補の対象として検討に加えられてはいかがだろうか。

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Ryoji Takada

Ryoji Takada

座右の銘は質実剛健。PDCAをやり遂げプロジェクト収益化まで愚直にやるのは得意分野。あだ名は夜桜で、昔は格闘技のプロであった時の名残。バイクとファッションと格闘技が好き。

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